4月は多くの企業で新入社員を迎える時期です。「試用期間中だからまだ正式な社員じゃない」と思っていませんか?実はこの認識、労務トラブルの原因になります。今回は試用期間にまつわる重要ポイントを解説します。
■ 1. 試用期間中も社会保険・雇用保険への加入義務があります
試用期間中であっても、雇用関係が発生した時点から社会保険(健康保険・厚生年金)と雇用保険への加入義務が生じます。「本採用が決まってから手続きする」は違法です。
・社会保険:入社日から5日以内に年金事務所へ届出
・雇用保険:翌月10日までにハローワークへ届出
試用期間中に退職となった場合でも、加入していなければ遡及処理が必要になり、会社・本人双方に負担がかかります。
■ 2. 試用期間中の最低賃金は必ず守る
試用期間中の賃金を低く設定している会社がありますが、最低賃金は試用期間中も適用されます。都道府県ごとの最低賃金を必ず確認してください。
■ 3. 試用期間中の解雇は「簡単にできる」わけではない
よく誤解されますが、試用期間中であっても解雇には「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が必要です(労働契約法第16条)。
試用期間中の解雇が許されるのは、「採用時には知ることができなかった事実が判明し、引き続き雇用することが適当でないと客観的に判断できる場合」に限られます。
「なんとなく合わない」「期待より能力が低い」だけでは解雇は認められません。
■ 4. 試用期間の長さと延長に注意
試用期間の長さに法律上の上限はありませんが、適性判断に必要な合理的な期間を大きく超えると、公序良俗違反として無効となる可能性があります。一般的には3〜6ヶ月が適切な範囲とされています。
また、試用期間の延長は就業規則に定めがある場合のみ可能で、合理的な理由も必要です。安易な延長はトラブルのもとです。
■ 5. 試用期間中も労働条件通知書の交付は必須
試用期間中であっても、雇用開始時に労働条件通知書を交付する義務があります(2024年4月改正により就業場所・業務の変更の範囲の明示も必要)。
■ まとめ
試用期間は「お試し期間」ではなく、正式な雇用関係のスタートです。手続きや処遇を曖昧にすることがトラブルの原因になります。
「試用期間中の対応に自信がない」「就業規則に試用期間の規定がない」という場合は、ぜひたなか事務所にご相談ください。
